「ここよ、ここ」
 繁華街から、電車で一時間。もうあたりがすっかり暗やみに包まれた頃に、真紀と祐子はようやくあのメモ用紙に残されていた住所の場所に到着していた。そこは、どうやら倉庫街の一角らしく、見るとその倉庫の一つからうっすらと明かりが漏れだしていた。

「どうやら、あの建物みたいね。」
「でも、広永先生ったらこんなところで一体何の用かしら?」
「そんなこと私に聞かれてもわかんないわよ。誰かとの待ち合わせだと思うけど・・・とりあえず中に入ってみましょ!」
 祐子の問いにちょっと口をとがらせて答えた真紀は、そのまま倉庫の裏の方に回り込んでいく。
「ちょっと、ちょっとどこ行くのよ?」
「まさか正面から入るわけにはいかないでしょ。裏口の方に回るのよ。」
 目論見通り裏口を見つけて、真紀はしてやったりといった表情を浮かべながら、そっとドアを開ける。
「あそこの荷物の陰に隠れましょう。それで中の様子がわかると思うわ」
 真紀はそう声をかけて、そろりそろりと音を立てないよう注意しながら中に入っていく。祐子もその後を追いながら、
「どう、広永先生は・・・」
「しっ! なにか聞こえる」
 真紀が祐子の唇に指をぴたとあててそう諭す。その言葉通り、倉庫の奥の方から男の話し声が聞こえてきた。
 
「・・・あのことがばれたかもしれないだと! 何を証拠に、そんな馬鹿なことを言ってるんだ?」
「ペンダントさ! あの時の娘、黒崎玲子が身につけていたペンダントを見つけたんだ。今日行った中学の生徒がしていたんだよ!」
「ペンダントなんて同じようなものなどいくらでもあるさ。そんなことでいちいちびくびくするなよ」
「いや、間違いない。見覚えある傷があったし・・・」
「心配するなよ。あの女はもうこの世にはいないんだ。俺たちが始末したじゃないか。ただの偶然さ」
「・・・しかし、やっぱり俺は・・・」

 がたがたっ。突然の物音に広永ともう一人の男がこっちを振り返る。

「やばっ! 見つかっちゃったじゃないの、祐子」
「だって急にあんなこと言われて・・・とにかく逃げましょ」

 あわてて逃げ出す真紀と祐子だったが、大の男の足にかなうはずもない。
 後ろ手に縛られて倉庫の床に転がされた真紀と祐子。それでも、祐子は気丈に二人をにらみつける。
「あんたたち! こんなことしてただですむと思ってるんでしょうね!」
 そんな祐子の言葉を、小馬鹿にしたような笑いで受け流し、
「ただですませるつもりはないさ。いろいろ都合の悪いことも聞かれてしまったみたいだしな・・・俺と広永は高校時代からのいわゆる悪友でね。いろんな悪事もやってきたんだ。黒崎玲子とかいった女をさらってきたときには、ずいぶん楽しませてもらったな・・・」
「そんなことぺらぺらとしゃべって・・・絶対、警察送りにしてやるわ!」
「無駄だよ。彼女は絶対見つかりっこ無いところに埋めちまったからな。後はおまえたちの始末だけ・・・」
「三崎! 彼女たちは・・・」
「関係ないか? そんなことはないだろ、広永。こいつらをこのまま逃がしちまったら、俺もお前も終わりなんだ・・・まあ、始末する前にじっくり楽しませてもらうがな。俺はこっちの気の強そうな娘が気に入ったぜ。お前はそっちの子でいいだろ」

 そう言っていやらしい笑いを浮かべた三崎が、ゆっくり祐子に近づいていく。恐怖に瞳を曇らせながらも体を揺らして、はかない抵抗を試みる祐子の胸元をつかんだ三崎は、そのまま乱暴に祐子のセーラー服を引き裂く。びりびりという音が倉庫の中に響き、ブラジャーに包まれた祐子の乳房がぷるんと露出する。

「きゃあ!」

 今まで我慢に我慢を重ねていた祐子がとうとう悲鳴を上げたまさにその時に、がらがらという音とともに、倉庫の扉が開いていく。