「のり子! どうしてここに!・・・・」
 倉庫の入り口に浮かび上がったのり子の姿を見て、真紀が声をかける。しかし、のり子の様子がいつもと違う・・・そして、右手に握られた鈍く光るナイフに気づいて絶句してしまう。
「お仲間の登場って訳か。しかし、そのままじっとしていてもらおうか。でないと、このお友達のかわいい首がへし折れることになるぞ!」
 真紀の声に振り返った三崎は、祐子の華奢な首を右手で握りしめて凄んだ声を張り上げた。
 だが、のり子の歩みは止まらない。ナイフをしっかりと構えたまま、一歩また一歩三崎達に近づいてくる。
「のり子? 違うわ。私の名前は黒崎玲子。そう、あなた達が殺したね。そして・・・」
 のり子はそう言って、壮絶な笑みを唇に浮かべる。

「・・・今度は、あなた達が死ぬ番だわ」

「・・・ふっ、はったりもいいかげんにしないと・・・」
 三崎は、青ざめた表情を必死で隠しながら、右手の筋肉に力を込める。
「・・・・くうぅぅぅ・・・」
 細い首筋にかかる強烈な圧力に、たまらず祐子の喉から苦しげなうめき声が漏れた。痛みに耐えかねたのか、その目からぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
 
(・・・だ、だめっ!・・・)

 光る涙を見た瞬間、今まで暗闇のなかに閉ざされていたのり子の意識が急速に戻ってきた。ようやく体の自由を取り戻したのり子の右手からナイフが滑り落ち、からんと床に落ちた。それを見た広永が急いでナイフを拾い上げる。

「くくくっ。また、かわいいお嬢さんが楽しませてくれる。まあ、まずはこの子からだ」
 そう言って、三崎は祐子のブラジャーを引きちぎったかと思うと、両手であらわになったピンク色の胸を揉み上げる。十三歳のぴちぴちと張りのある乳房を強く刺激され、祐子の口からは、悲鳴にも似た嬌声が上がる。
「ほら、もっといい声で鳴かせてやろうか・・・ぐっ・・・何を・・・・」

 さらにエスカレートする手の動き、それが祐子のパンティにまで伸びてきたその瞬間、三崎の口から苦しげな声がしたかと思うと、そのまま床に庖れ落ちる。
 何がなんだかわからない祐子の目に映ったのは、呆然として立ち尽くす広永の姿だった。その手には、血に赤く染まったナイフが握られている。

「・・・ごほっ、ごほっ・・・広永先生。先生が助けてくれたんですか。でも、どうして・・・?」
「・・・もう耐えられなかったんだ。そう、自分の犯した罪は自分で償わなければいけないんだ・・・」
 祐子の問いにそうつぶやいた広永は、ゆっくりと右手のナイフを自分の胸に当てる。そのままナイフが心臓に向かって突き刺さる、それを止めたのは駆け出してきたのり子の両腕だった。
「先生! そんなことをして本当に彼女が慰められると思っているんですか! もし、本当に罪を反省しているのならば、生きるべきです。生きて彼女にしたことを償うべきです。」
 すべてを知っているようなのり子の瞳を見て、広永は静かにナイフを下ろした。