ひょんなことで始まってしまった深夜の飲み会。手の内のコップに半分注がれたブランデーを前にして、智行はごくりとつばを飲み込んだ。アルコールを飲むのは、お正月のおとそを除けば、全く初めてなのだ。

 ゴクッ……
 意を決っして、口に付けたコップからブランデーを喉に流し込んだ。その瞬間、体の中を焼ける様な感覚が突き抜ける。
「ごほっ……ごほっ……こ、これは効くなあ……」
「ふふふっ。だめだよ、そんなに一気に飲んじゃあ」
 むせてしまった智行の様子に、祐香は思わず吹き出してしまった。見ると、彼女の方は、ちびちびとゆっくりしたペースでしかない。

「ったく、自分だけずるいよなあ……」
 そんな悪態をつきながら、智行も真似して飲んでみた。舌先からじんわりと浸み込むような感覚、そして体中がぽかぽかと暖まってくる。
「うん、なんかおいしいっていうか、不思議な感じ」
「でしょ。体がふんわりしてきて、変な気分になるの……」

 いままで味わったことのない感覚に、思わず夢中になってしまう智行。ようやく慣れてきた喉に、コクコクとブランデーを流し込んでいく。そんな彼の様子につられるように、祐香のペースもアップしてしまう。
「ぷはぁ~。うん、いける!」
「智ちゃん、なんか、おっさんくさいの、へんだよぅ……」
 とかなんとかいいつつ、ちゃっかりコップを空けてしまう二人。目の回りを赤くしながら、お互いに顔を見合わせた。
「……ねっ! もう一杯いこうぜ」
「えっ……でも……ま、一杯だけならいいかな……」
 そして……