「ひっく……さ、さすがに三杯めになると、ちょっときついやっ……」
「きゃははははぁ……智ちゃんの顔、真っ赤だよぉ」
「なんだよ、そう言う祐香だって、酔っぱらった顔してるじゃん!」

 どっちもどっちといった感じの二人の様子。あれから結局、三杯目まで飲み干してしまってた智行も祐香も、すっかり赤い顔。
「う~、しかし、もう帰らないとさすがにまずいな……」
「うん、ちょっと長居しちゃったもんね」
「しかし、こんなんで帰って、祐香、大丈夫なのかぁ?」
「だいじょうぶっ……今夜は、パパもママもお出かけで私一人なの……だから、こんな夜に抜け出せたんだけど」
「そっかぁ、うちはまずいや。まあ、こっそりもぐり込むしかないかなぁ」
 そんな言葉とともに頭を少しかきながら、立ち上がった智行。つられて祐香も腰を上げる。

「ごめんね、なんか付き合わせちゃって……」
「いいって、いいって……さ、帰ろうぜ……って、あっ!」
「……きゃあっ!」
 おぼつかない足元の智行が、思わず足を滑らせたのだ。
 手を伸ばした祐香の体も巻き込んで、派手に教室の床に倒れ込んでしまう。

「ご、ごめん。やっぱり、酔っぱらってるのかなあ……」
「そ、それはいいんだけど……」
 覆い被さる格好になった智行のあわてた言葉に、少女はなにか言いにくそうな表情が浮かべた。
 その視線を追っていった智行は、自分の手が彼女の胸の上に置かれているのに気づき、ぱっと体を離して、
「あ、いや、その……わざとじゃなくて……」
 しどろもどろな彼の様子に、祐香はくすっと笑みをこぼす。
「ううん。気にしてないよ……でも、不思議よね。子供のときなんて、いつもこんなだったのに」
「そうそう。いつかなんて、いっしょにお風呂に入ったときに、祐香が派手に足を滑らせて……」

「あ~、まったく、智ちゃんってHなんだからっ! あの時のことを思い出してるんでしょ!」
 言葉の途中でちょっと顔を赤らめてしまった彼の表情を見て、祐香は少しいたづらっぽい笑いをもらしながら、
「そういえば、お医者さんごっことかもしたことあったわよね~。あの時のこと思いだして、智ちゃん、興奮したりしてるんじゃないの?」
「そ、そんなことない! だいたい、子供の裸を思い出したって、何も感じないよ」
「あっ、言ってくれるわねっ……それなら、今だったらどうなのよぉ」
「だって実際に見てないんだから、わからないさ。まあ服の上からの感じじゃ、胸の大きさもそんなに変わってないみたいだけど」
 からかうような智行の言葉に、祐香は頬をぷうっと膨らませてしまう。

「じゃ……じゃあ、見せてあげる。智ちゃんが思ってるより、絶対色っぽいんだから!」
 そんなことを言ったかと思うと、祐香はセーラー服の胸のリボンをするりと引き抜いた。
「おい、なんだよいきなり……酔ってるだろ、祐香!」
 口では制止の言葉をかけながらも、少女の胸元に釘つけになってしまう智行の瞳。アルコールに火照った体が、ますます熱くなっていくのがわかった。