お互いの身体についた汚れをシャワーで洗い流し、バスルームを出た。
 浩一にバスタオルを渡し、自分の身体を拭きながら彩子は言った。
「ベッドで待っていてくれる? あ、寝室はあっちよ」
 とベッドルームを指す。
「はい、それじゃ・・」
 浩一は素直に従い、ベッドルームへ向かった。
 彩子は身体にバスタオルを巻き、洗濯の終わった浩一の作業服を乾燥機にほうり込み、
そしてキッチンに向かった。
 ふふ・・・素直でかわいいわ・・・わたしの言いなりって感じ
 どうやって遊んであげようかしら・・・
 ひとしきり思案にふける。ふと、悪戯っ子のような微笑みが彩子の顔に浮かんだ。
 思惑をどう実現するか、頭の中で妄想を描き、一人で楽しみながら冷蔵庫の中から冷え
たワインを取り出す。戸棚から2個のワイングラスと、そして引き出しに入っていた
「ある物」を持ってベッドルームに向かった。
 浩一は腰にタオルを巻き、ベッドに座っていた。眩しそうな目をして外を眺めている。
ベッドルームの窓からは夏の強い日ざしがレースのカーテン越しに射し込んでいる。空調
が効いているので部屋の中は涼しい。周辺はここ以上に高い建物はないので、レースの
カーテン一枚でも覗かれる心配はなかった。
 部屋に入ってきた彩子を見て、浩一は驚いたような表情をした。
 バスタオル一枚の彩子をまじまじと見つめる。
 思わず言葉が漏れた。
「彩子さんて、ホントにキレイだ・・・薄暗いバスルームだとよく分からなかったけど、
どう見ても20歳前後だよ。女子大生だって言ってもバレないよ」
 彩子の豊かな胸は、巻いたタオルなど振り払わんとせんばかりに若々しくみずみずしい
張りを保っていた。ピチピチという音がしそうだ。股間をすれすれに隠しているタオルの
端からは、すらっとした、なおかつほどよく肉付きのいい太腿があらわになっている。ど
れも透き通るように白い。女は25を過ぎると衰え始めると言うが、彩子に対してはそれ
は当てはまらなかった。
「んもう、どうしたの? 急に。変ねえ」
 言葉とは裏腹に、美しくもあり、あどけなくもある彩子の顔は浩一の賛辞に対する喜び
を素直に表していた。
 彩子はワインとワイングラスをベッド横のテーブルに置き、隠し持っていた物は浩一か
らは見えないようにベッドの枕の下に隠した。
「だって、オレ・・・、こんなにキレイな人と・・・・あの・・・その・・・」
「誘ったのはあたし。君は何も気がねしなくていいって言ってるでしょ?」
「はい・・・、へへ、偶然とは言え、なんかすごくいい思いをしてるっすね、オレ」
「でしょ? そう思わなきゃ」
 彩子はワイングラスを取り、浩一に手渡した。
「え・・・?」
「少しお酒飲んだ方が盛り上がるでしょ?」
 ワインを注ごうとする。浩一は僅かに躊躇した。
「でも・・・、オレ、一応まだ勤務中だし・・・」
「ワイン一杯くらい大丈夫でしょ? それとも、浩一君、お酒弱いの?」
 からかうように言う。
「そ、そんなことないっすよ。飲もうと思ったらいくらっでもいけますよ」
「それなら・・・」
 浩一と自分のグラスにワインを注ぐ。
「まだ時間はあるわ、楽しみましょ」
 ベッドルームにグラスを合わせる音が響いた。
 ほてった身体に冷たいワインが心地いい。口に含み、流し込むたびにこれがこれから身
体を激しく燃やす為のガソリン燃料のように思えてくる。
 浩一もこの場は仕事も何もかも忘れて美人妻との情事を楽しもう、と決意したかのよう
に、グイっとグラスをあおった。
「でね、浩一君・・・、お願いがあるんだけど・・・」
 もてあそぶようにグラスを傾けながら、ためらうように彩子が言葉を発した。
「え・・・」
「あの・・・ね、わたしから誘っておいてこんなこと言うのも何なんだけど・・・
わたし・・・浩一君の身体を好きなようにしてみたいの・・・」
「え・・・、それって・・・」
 浩一が驚く。
 彩子はさすがに恥ずかしさを感じていた。が、
「ううん、決して痛いこととかそういうことじゃないの。ただ・・・君の若い身体を自
由にしてみたいな・・・って、それだけなの」
 欲望が羞恥心を押しとどめる。
「ん~・・・」
 浩一が天井を見上げた。
 悩んでるってことは脈ありかしら・・・
「あたしね、今までのSEXってずーっと受け身ばっかりだったの・・・夫がそういう
人だからしょうがないんだけど・・・でも、やっぱりどこか不満だった・・・。女だって
男の人と同じように性欲や好奇心のある生き物なのよ、自分からいろいろしてみたいって
思う時もあるの。でも・・・今までそれを押し留めていたの・・・。だから・・・ね・・
こんなお願いして悪いんだけど・・・ダメ?・・・」
 浩一は悩んだ。彩子の求めたい行動は分かるような気がする。しかし、既に身体を密着
した間柄とは言え、彩子とは今日初めて会ったのだ。他人の性的嗜好をどこまで受け入れ
てよいのだろうか・・・。とまどいが渦巻く。だが・・・
 どう見ても彩子が一線を越えてしまうような行為を行うとは思えないし、何よりも先程
のバスルームで彩子に身体を預けた時の今まで感じたことのない津波のような快感が忘れ
られない自分がいた。
 人妻に弄ばれるってのもいいかも・・・
 横を向くと彩子が潤んだ目で恥ずかしそうに浩一を見つめていた。
 決心する。
「いいっすよ、こんな身体でよければどうにでも好きなようにして下さいよ」
 彩子に向かって微笑んだ。
「ホントに? ゴメンね・・・急に変なこと言い出して・・・」
「いやあ、彩子さんみたいな美人にいじめられるなんて本望っすよ」
 浩一は笑った。
「ふふっ・・・じゃ、いっぱい気持ちよくしてあげるね」
 彩子も微笑んだ。
 浩一からグラスを受け取りテーブルに置いた。そして、枕の下に隠していた物、ビニー
ルひもを取り出す。
「え! 縛るんですか?!」
「大丈夫、痛くはしないから。ただ、君の身体の自由を奪うだけ。あ、と・・その前
に・・・」
 彩子はベッド脇のタンスから一枚のタオルを出してきた。
「目隠しすると興奮するらしいのよ?」
 浩一の後ろにまわり、そっとタオルで浩一の目を覆う。頭の後ろでほどけないように
しっかりと縛る。
「ホントだ、なんかこれだけで興奮してきた」
「それで仰向けになってベッドに寝て」
 浩一の身体を手で支え、ベッドに寝かす。
「じゃ、手足を大の字に開いて」
 浩一は素直に従う。
 彩子の目と、そして股間が潤んだ。
 ゾクッ・・・彩子の身体の一部にある、サディスティックな部分が疼く。股間が熱を
帯びる。