「お姉ちゃん、ちょっといい?」
深雪は雅の部屋のドアをノックした。
「どうぞ....」
深雪がドアを開けると雅はスウェットを着てベッドに座って深雪を見上げていた。
「どうしたの?」
「雅隆の事なんだけど....」
雅の隣に座ると本題を切り出した。
雅は雅隆という名前を出されてドキッとした。 心臓が素手でつかまれたように
キューッと縮こまったかと思うと、今度は激しく脈打ち始めた。胸が激しくドキ
ドキする。
「ま、雅隆くんの事? なんの話?」
動揺しているのを深雪に知られないようにと思っても、化粧っ気のない美しい顔
は引きつってしまう。
深雪は姉の表情を見てため息をついた。
(雅隆も可哀相だけど、お姉ちゃんも可哀相ね....)
「雅隆に聞いたの.....ビデオ見ながらオナニーしてるのをお姉ちゃんに見
られたって.....雅隆もすごいショックだったみたいよ」
「わ、私はどうってことないのよ!」
普通にしゃべろうと思っても声が裏返ってしまう。 雅は我ながら情けなかった。
「雅隆が3歳の時から自分の子供のように面倒見てきたんだから、お姉ちゃんの
気持ちもわかるけど雅隆も高校1年生の男の子なんだからオナニーぐらいするわ
よ。 最近は中学生ぐらいでセックスまで済ませてるなんてザラなんだから」
「中学生で....セックス.....」
雅は呆然としている。 
(私は23歳でまだなのに...恋人もいないのに.....)
深雪は言い過ぎたかと思い、視点を変えようとした。
「とにかく普通の男の子はオナニーぐらい当たり前なんだし、逆にしない方が不
健康よ! 男は出さないと溜まっちゃって大変らしいし....」
「......」
「ああいうビデオ見るの初めてだったの?」
雅は返事をせずに頷くことで深雪に答えた。
「そう....それじゃあ、じっくり見て見ようよ!」
雅は顔を上げて、深雪の顔を見つめた。
「雅隆がどういうものを見てオナニーしてたのか見てみよう...ね! 男の子
がどういうものを見ると興奮するのか知っておくのも必要じゃない?」
(あのビデオを見るの....私が....? )
「社会勉強よ、お姉ちゃん! 私と一緒に全部見てみようよ。 女同士だから大
丈夫だよね?」
見てみたいという気持ちと不潔なものを見たくないという気持ちがない交ぜにな
って雅を悩ませた。
「雅隆は外に行かせるから.....ね! それだったらいいでしょ?」
縄で縛られた女性が身もだえる映像がフラッシュバックしてくる。 縛られた女
性が自分に重なる。
(深雪ちゃんの言うとおりよね....それに、ちょっとだけだったらいいわよ
ね....)
「ま、雅隆くんのためよ! それだったら....」
「じゃあ、雅隆に外に行くように言ってくるから、ちょっと待っててね」
雅の気が変わらないように深雪は走って部屋を出ると二階に駆け上がった。
雅隆は下の様子を伺おうと、階段の所にたたずんでいた。
「お姉ちゃんどうだった?」
「お姉ちゃんをちょっと性教育するから、雅隆は外に行っててくれる?」
「性教育? なんで外に行かなきゃいけないの?」
「いいから、私の言うとおりにしなさいよ! それに後でいい思いさせてあげる
から」
「いい思い? どういうこと?」
「そんなこと言ってないで、早く着替えて外に行ってらっしゃい。 そうだ、ク
ッキーの散歩させてきてよ。 1時間ぐらい帰ってこなくていいからね」
「1時間も! クッキーの散歩なんか、そんなに長く出来ないよ」
「何でもいいから! 私にまかせておきなさいよ!」
「....うん、わかった....」
雅隆が着替えるために階段を下りようとすると、深雪が近寄ってきて雅隆の耳元
で囁いた。
「雅隆、あんたの部屋に......」
階段を下りてくる音が聞こえてきたと思ったら、雅隆の部屋でゴソゴソと物音が
し始めた。 しばらく立つと玄関のドアを開ける音がした。
「クッキーの散歩に行ってくるね」
深雪が階段を下りてきて、行ってらっしゃいと声をかけた。 ドアが閉まる音が
して、深雪が部屋に入ってきた。 深雪は鍵とチェーンを閉めて雅隆が家に入っ
てこれないようにした。
雅を部屋に入れる前に全ての準備を整える必要があったので、雅隆に何がどこに
あるのかを前もって聞いておいた深雪は雅隆の部屋の中から必要なものを出して
セッティングを始めた。
開いたドアをノックして深雪が部屋に入ってきた。
「お姉ちゃん、始めるよ」
緊張でこわばった顔をした雅が座っていたベッドから立ち上がった。 ゴクッと
雅の喉がなった。
「うん....」