「でさぁ~、どうも最近、哲夫の様子がおかしいんだ・・・」
「結構、浮気なんかしてたりして、ねっ慶子!」
「ありうるかもねぇ~! 和恵と違って律子のサービス、悪いんじゃない?」
「そんな事ないよ、慶子~!!」
そこは、どこにでもよく見かけられるとある女子校の教室内だ。
つかの間の休み時間、教室内は仲の良い4、5人のグループに分かれ、ペチャクチャと
他愛もない話に没頭している。
その教室の一番後ろで彼女たちは、女子高生のこれまたよくある恋愛の話しで
盛り上がっていた。
慶子と呼ばれている、いかにもお嬢様という雰囲気を持つ女の子をはさみ、
右には今時のコギャルと呼ばれそうな感じの律子、左には黙っていればおとなしく真面目な優等生っぽい和恵が椅子を寄せて座っている。
「おい、暑いぞ!! もっとしっかりしろよぉ~!!」
ただでさえ短している制服のスカートをほとんど捲り上げ、ピチピチとした白い太腿を
露わにしながら慶子じゃ叫んだ。
「おい、慶子が暑いって事は、私らも暑いんだよ!! まったく・・・」
和恵が下から睨み上げるような視線で振り返りながら言った。
彼女たちの後ろには、一人に一人づつウチワを懸命にあおぐ少女たちが立っていた。
「はいっ!! すいません」
少女の一人が頭を下げながら言った。
彼女たちは、額や首筋に汗を流しながら強くあおいだ。
「おー!! いいねいいね、その調子!!」
律子は、その働きぶりに満足した。
「哲夫って何が一番好きなの?」
「これよ、これ・・・」
慶子の問いに律子は自分の唇を指で指した。
「え~っ!! フェラ~!!、聞いた和恵、フェラだってよ」
「ちょっと待ってよ慶子、私フェラなんて言ってないよ!!」
律子は照れながら言った。
「そんなの当たり前でしょう慶子、男はね・・・みん~な、フェラが好きなの!」
「さっすが~、和恵が言うと説得力あるぅ~!!」
慶子は、尊敬のまなざしで和恵のほうを見ながら言った。
ドスッ!!
何を思ったのか、慶子は突然自分の前に座っている女の子の椅子を蹴った。
「ねぇ律子・・・和恵にもっとテクニックを教えてもらったら~?」
ドスッ!!
蹴られている少女は固くなったまま動かない。
「いいの!! これから二人で開発して行くんだから」
ドスッ!!
律子も蹴った。
「キャァ~!! 熱い、熱い・・・」
「本当、お熱くて、うらやましいこと!!」
ドスッ!!
和恵の蹴りが続いた。
3人から蹴られ続けている少女はじっと耐えていた。
彼女らの蹴りの攻撃ではなく、別の事に対して。
少女は両手はギュっと自分の太腿をつかんだままである。
しかし、腰は微妙に左右に振っている。
キーン、コーン・・・カーン、コーン・・・
けだるい授業の開始の音だ。
しばらくして、先生が教室に入りいつものように暇な時間が始まった。
「す、すいません・・・慶子さん・・・すいません」
少女は、か細い小さな声で慶子に話しかけた。
「何がすいませんなんだよ」
慶子は、足でその子の椅子の背を揺らすように蹴った。
「うわぁ~!」
少女は突っ伏し大きな声で泣き叫んだ。
チロッ、チロッ・・・
ジョ、ジョ・・・
ジョジョジョジョジョ~・・・
止まらなかった。
「うわぁ~ん・・・!」
少女は更に泣き叫んだ。
その足元にできた水溜まりは、少しずつ少しずつ大きくなっている。
クラスの視線が少女に集まった。
「どうしたんですか?」
黒板から振り返った先生が厳しい声で尋ねた。
「先生、すいません・・・西岡さんが・・・」
「西岡さんがどうしたんですか?」
「おもらししちゃったみたいで・・・」
教室内が一斉にざわめき出した。
西岡と呼ばれた少女は、ただ泣くことしかできなかった。
「大丈夫、西岡さん?」
慶子は、心配そうに少女に駆け寄った。
「うっ、うっ、うっ・・・」
そして、泣き続ける少女の背中をそっとさすってあげた。
「だから、慶子がさっきいあれほどトイレに行けって・・・」
律子が白々しく言った。
「そんな事言っている場合じゃないでしょ、はい、これ!!」
和恵は、掃除用具入れから持ってきた雑巾一枚を慶子に渡した。
「ありがとう、和恵・・・」
少女のそそうを3人は、その手で奇麗に片づけ始めた。
「みんな何もなかったことにしてあげて・・・そうじゃないと西岡さんが・・・」
慶子は、床を拭きながら涙ぐんだ声で叫んだ。
「うっ、うわぁぁぁぁん!!」
少女は泣いた。
それを見ていた先生は、何事もおきていなかったように言った。
「さあ、教科書の59ページを・・・」
慶子たちは、少女を抱きかかえそっと教室を後にした。